本気でサステナブルカンパニー

WEPs
グッドプラクティス紹介

原則4
味の素株式会社
施策の担当部署
D&I推進チーム
(人事部人財開発グループ内)
施策概要
4.3 アンコンシャス・バイアス研修とジェンダー平等に向けた啓発
D&I推進のうち多様性を受容する組織風土づくりの1つの施策。個人や組織のアンコンシャス・バイアス(以下UCB)とその影響を正しく理解し、従業員一人ひとりが公平な機会を得られる組織風土づくりを目指している。
2Step(1.UCBを知る・考える→2.コントロールする)のうち、現在は第1Stepを進めている。
これまでの取組み内容
  • 1)経営メンバーへの外部講師による集合研修(グローバルおよび経営者視点におけるDIVを阻害するUCBを知る)を実施し、経営メンバーより受講後の感想を交えたDIVとUCBに関するメッセージを撮影し、その動画を社内イントラで配信
  • 2)人事メンバーへの外部講師による集合研修(人を判断する、または判断の仕組みづくりを行う部署としてUCBを知り、ワークショップで解決策を考え共有する)
  • 3)e-Learning+ワークショップを全社員に展開
    全社展開では部署の主に管理職がファシリテータとなり、社員各自がe-Learning後に自組織内でワークショップを行っていることが特徴。多様な目線による意見を知り、UCBに気付くことを目的にしている
    次Stepでは、自身のUCBに気付き、人との関わり合いや物事の判断にどのような影響を与えるのか具体的に考え、コントロールできること(コントロールできる仕組みを考える)を目指している
施策を導入した経緯(理由・動機)
  • • 退職率1%程度の同質性が高い組織風土(「あ・うん」の空気感から前提条件や背景を説明しないことがあり、年代や経歴等で ミスコミュニケーションが発生しやすくなっている)
  • • 2017年実施のエンゲージメントサーベイで多様性の項目のポイントが低い
  • • 社員一人ひとりが働きがいを実感して能力を発揮できる環境づくりによる新しい価値(イノベーション)を生み出す
  • • 公平な機会提供と、公正な人の判断に繋げる
施策の開始日
  • • 2017年7月:社内のダイバーシティ推進タスクフォースを発足し、同10月に経営メンバー向けのUCB研修を企画
  • • 2018年3月:CEOを含む経営メンバーに外部講師による研修を実施
  • • 2018年8月:人事部メンバーに外部講師による研修を実施
  • • 2019年秋~ e-Learning完成後、国内営業部門より順次全社展開開始(一部終了)
施策の主な目標
  • 1)多様な意見やアイデアを受け入れる組織風土づくり(心理的安心)
  • 2)新たな目線による創意工夫が日常的に生まれることを目指す(公平な機会提供)
<D&I推進で目指す姿>
「性別、年齢、国籍、経歴等、多様なバックグラウンドをもつ人財が個々の視点や能力を発揮することを大切にし、イノベーションを生み出し続けることでASV(Ajinomoto Shared Value:社員個人・会社の共成長と社会への貢献)を成し遂げることを重要な経営戦略と位置付けています。
施策を進めるにあたっての課題
  • 1)目的の理解:まずはD&I推進の必要性を十分理解できるようにした。
    (工夫)全社展開のe-Learningは構成を工夫し、UCB研修のコンテンツ前に、イノベーションとダイバーシティに関する外部講師による講演動画、味の素社におけるD&Iの目指す姿の動画、ダイバーシティとは何かについてのe-Learningコンテンツを提供した。そのうえでUCB研修を受講し、ワークショップを実施する流れとした。
  • 2)伝え方の工夫:退職率1%台と一般的に同質性が高い組織風土であるため、これまでの風土や経験を「変える」ことへの違和感に配慮した。
    (工夫)「Add-onする」という伝え方。人に対する配慮そのままに、本人の選択肢を増やす伝え方(打診してから→必要な配慮を聞く) を推奨。これまで味の素社が大切にしてきた人への配慮や想いを変える必要はないことを説明。
  • 3)理解者を増やす:D&I推進担当が一方的にe-Learningで研修を実施するだけでは、企業風土づくりは難しいと考え、サポーターを増やす研修推進方法とした。
    (工夫)D&I推進メンバーが現場を理解している各組織の若手管理職にファシリテータ研修を実施し、味の素社のD&I推進を理解したうえで自身のチームでワークショップを行う際にファシリテートを担当してもらった。結果、各組織でスムーズなワークショップが運営されるとともに活発に意見交換され、高い効果が得られたと感じている。
組織のジェンダー平等の推進にあたり、
WEPs署名企業であることのメリットや効果
(2009年7月16日に国連グローバル・コンパクトに署名)
社内広報には限界があるため、外部の取組みに賛同や参画し、社内以外からの発信がされることは、取引先や顧客など外部ステークホルダー等を通じ社内に戻ってくることが期待される。
施策の今後の計画・展望
2017年のタスクフォース設置時に2022年までの推進計画を策定し、これに沿って取組みを進めている。
(※2022年までに「社員一人ひとりが働きがいと社内で起こるイノベーションを実感し、社員と会社が共成長する」という目的) 直近では以下の取組みを開始・計画している。
  • 1)全社展開の結果を分析し、アンコンシャス・バイアス研修の次ステップ「コントロールする」への準備
  • 2)2017年から開始したD&Iへの理解促進およびUCB研修等を経て、2020年度より女性の登用機会提供を目的とした「AjiPanna Academy(職位に応じたメンタープログラムや選抜研修等のプログラム総称)」を開始。
選抜研修には論文提出というハードルを設けたが20名の定員に対して50名弱の申込があり、年齢層も20代から50代まで幅広く応募があった。多くのチャレンジを目の当たりにして少しずつではあるがD&I推進に対しての成果の現れとみている。当アカデミーは2022年度まで実施を予定しているが、その後は女性だけではなく、全社的な機会提供の環境づくりを検討していきたい。
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