本気でサステナブルカンパニー

日本の現状を
知ろう

日本のジェンダー平等の
取り組みについて

ジェンダー平等は、サステナビリティとダイバーシティの基本要素〜「女性活躍」から「ジェンダー平等」にシフトし、国際基準にかなう本気の環境整備を行なっている企業はどこ?〜

ジェンダー・スペシャリスト
特定非営利活動法人Gender Action Platform 理事
大崎 麻子氏
PROFILE

日本における
ジェンダーギャップの現状

世界経済フォーラムは、2006年から毎年、ジェンダーギャップ報告書を発表し、各国のジェンダーギャップ 解消の進展度をランクづけしています。2022年の日本の順位は、調査対象国146カ国中116位でした。G7はもちろん、アジアの主要経済国を比べても最低ランクです。2006年の最初のランキングでは、日本は80位でしたから、この15年間の間に順位は大きく転落してしました。「女性活躍」や「ダイバーシティ」をうたっている企業がたくさんあるのに、なぜ、ジェンダーギャップはなかなか縮まらず、順位も転落していくのでしょうか。

グローバル・ジェンダー・ギャップ指数:経済分野
「グローバル・ジェンダー・ギャップ報告書2021」世界経済フォーラム
⼥性の経済的エンパワーメントのための法整備
「Women, Business and the Law 2022」世界銀⾏

「女性活躍」から
「ジェンダー平等」へ

わたしは、日本の「女性活躍」の取り組みが、世界の取り組みとは異なるコンセプトで行われてきたことに原因があると考えます。国際社会共通の目標である、SDGsの5番目のゴール「ジェンダー平等と女性・女の子のエンパワーメントの達成」は、6つのターゲットで構成されていますが、最初に掲げられているのが「性差別の撤廃」です。それが女性のエンパワーメント(「女性活躍」)の大前提だという考え方が読み取れます。つまり、企業に求められているのは、法律で禁じられている直接的な差別の根絶はもちろんのこと、制度や慣行に根強く残る性別役割分業意識や無意識のバイアス(アンコンシャス・バイアス)によって起こる間接的な差別を解消すること、家庭内での家事・育児などの無償ケア労働を女性だけではなく男性も共に担えるようにすること、意思決定ポジションにおけるジェンダーバランスを向上させることなのです。こうした「本気の環境整備」なくしては、女性の活躍、女性のエンパワーメントはありえない、というのが国際社会共通の認識です。

WEPsの国際基準を知ろう

「女性のエンパワーメント原則
(Women’s Empowerment articles:WEPs)」は、そのような考え方に基づいて、企業が取り組むべき具体的な施策を提示しています。7つの原則を着実に実行していくことで、自社内はもちろん、社会全体のジェンダー推進にも貢献できる仕組みになっています。近年、世界中、特にアジアの経済主要国で、WEPs署名企業が急増していることからもわかる通り、ジェンダー平等の推進が、企業の持続的な成長のために不可欠であるという理解も急速に広まっています。WEPsという国際基準を知れば、ジェンダーギャップの解消やDE&I(ダイバーシティ 、エクイティ&インクルージョン)の推進に向けて、本質的な取り組みを行なっている企業がどこかを見極めることができるようになります。

ジェンダー・ダイバーシティの進んだ企業は、多角的な視点から経営判断ができる企業ということになります。調査「ジェンダーダイバーシティと気候イノベーション」で指摘されている通り、その中には、気候変動に対する本質的なアクションも含まれるでしょう。今後、そうした企業が、世界の変化に柔軟に対応しながら、持続的に成長していくのではないでしょうか。企業を見る「目」を養い、就職先を選ぶ時、ユース・ステークホルダーとして企業と対話を行う時に生かしてください。

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