本気でサステナブルカンパニー

日本の現状を
知ろう

日本企業の気候変動の
取り組みについて

金融機関が、企業の財務面と非財務面(ESG)を統合して評価するようになってきました。環境(E)の最重要事項は「気候変動」、社会課題(S)の最重要事項は「人的資本」「ダイバーシティ」です。その双方で評価される企業は長期的に高い価値があると評価されています。

一般社団法人 バーチュデザイン 代表理事
慶應義塾大学 非常勤講師
吉高 まり氏
PROFILE

カーボンニュートラル宣言

2020年10月菅前首相が2050年までに日本はカーボンニュートラル(CN)社会を実現すると宣言しました。これは、エネルギーを化石燃料に依存してきた日本の大きな歴史の転換点。それ以降、多くの上場企業がCN宣言をし始めました。日本は、省エネ技術は優れていますが、CN実現にはクリーンエネルギーの導入の加速が欠かせません。しかし、日本の再エネ価格は、世界に比べてまだ高いのが現状です。日本企業はその進むべき道を模索しています。

ESG 投資とは

2006年 国連による責任投資原則 (PRI = Principles for Responsible Investment)
信託、年金、生命保険など、個人の資金を預かり運用をする、機関投資家の投資の意思決定プロセスにESG(Environment 環境、Social 社会、Governance ガバナンス)課題を、受託者責任に反しない範囲で反映させるべきとした国際ガイドライン。

リーマンショックにより世界的な
ショートターミズムへの反省
新型コロナウイルスの影響で、統合加速!

企業のESG主要テーマと目的
ESG活動における所要テーマ TOP 7
ランク 項目 比率
1 コーポレート・ガバナンス 71.7%
2 気候変動 63.6%
3 ダイバーシティ 43.2%
4 健康と安全 40.6%
5 人権と地域社会 37.0%
6 製品サービスの安全 30.7%
7 リスクマネジメント 28.6%
GPIFが東証一部上場企業2,186社へアンケートを実施。681社回答
出典: GPIF(2021)「『第6回 機関投資家のスチュワードシップ活動に関する上場企業向けアンケート集計結果』の公表について」より作成

男性投資家と比較した
女性投資家の特徴

世界中で女性起業家が成功し始め、遺産など、女性が保有する資産額は2020年には72兆ドルに増加する見込みで、2001年の米国の株式投資の利益において女性は男性を年間1パーセント上回りました。
その理由として、次のようなことがあげられています。男性は投資を目的として扱い、市場に対して自分自身を誇示し性急な決定をしてしまう傾向があり、そのため市場動向に過敏に反応するなど、大きく影響される可能性があります。これとは対照的に、女性は長期的視点にたち、投資を単なる目的達成の手段と見なす傾向があるようです。

出典: https://ampmedia.jp/2019/04/26/gender-smart-investment/
カリフォルニア大学の調査「Boys Will Be Boys: Gender, Overconfidence and Common Stock Investment」

ジェンダーレンズ投資規模の推移

*2019年は6月末時点
出典: Veris Wealth Partnersサイト Gender Lens Investing: Assets Grow To More Than $3.4 Billionより作成

国連気候変動枠組条約締約国会議
(COP)

気候変動問題が世界に問われ始めたのは、1985年のオーストラリアで開かれた世界会議(フィラッハ)です。その後、国連地球環境サミットが開催された1992年に国連気候変動枠組条約が締結され、枠組みの内容を交渉する締約国会議(COP)が毎年開かれます。
昨年11月英国グラスゴーで開かれたCOP26の初日はジェンダーデー。この女性と気候に関する会議では、女性と女児がグリーン経済への公正な移行を主導できるようにするジェンダー平等の必要性が語られました。

国連の報告によると貧困層の70%を女性が占めているため、気候変動の影響を過度に受けます。一方、ガスおよび石油業界の従業員の女性はわずか22%であり、女性の声が取り上げられないことによる気候変動問題解決の遅延が懸念されています。会議では、気候問題解決のための資金への直接アクセスを増やし、気候の影響、災害リスク、損失と被害に対する女性と女児をエンパワーメントすることなどが提案されました。気候変動に対して世界的な取り組みを確実に成功させるには、女性と女児のエンパワーメントとリーダーシップが不可欠であるとして「ジェンダー平等と気候変動に関するグラスゴー女性リーダーシップ声明」が出されました。

「気候変動」と「ジェンダー」の
取り組みがESG統合評価に

ESG金融とは、企業の価値を財務以外の情報で将来の成長性を評価するものです。ESGのE(環境)の一丁目一番地は気候変動。多くの企業がカーボンニュートラル宣言し2050年のカーボンニュートラル社会に向け様々な対策を発表し、金融機関はこれらの情報に基づいて、投融資先の企業を評価し始めています。一方、ESGのS(社会)の一丁目一番地は、人権と人的資本、当然のことながら、ジェンダーギャップの解消が含まれ、ESG評価はこれらの要素が統合的に行われます。
このプロジェクトは、日本で分けて考えられがちな「気候変動」と「ジェンダー」の相互関係を明らかにする試みであり、日本企業のESGの統合評価の一助になると期待しています。

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